米支共通の敵だった日本

John Paton Davies center & Mao & ZhouPhilip Jaffe & Owen Lattimore & Agnes Smedley








(左 : ジョン・デイヴィスと親しくなる周恩来と毛沢東  /  右 : 支那大陸に赴いたフィリップ・ヤッフェとオーエン・ラティモア)

  日本の保守派言論人というのは、目の前の事件に振り回されるばかりで、世界政治を歴史的に鳥瞰することはない。つい最近、テレビや新聞では下院議長のナンシー・ペロシが台湾を訪問したことで、ちょっとした政治騒動になっていた。だが、大局的に観れば大したことじゃないだろう。一部の政治評論家やジャーナリストは、「台湾を巡って米支の熱い対決が起こるのでは?」と心配しているが、合衆国海軍が本腰を入れる大規模な軍事衝突にはならないだろう。おそらく“プロレス”のような“喧嘩”程度じゃないのか。

  令和の小学生や中学生は知らないと思うが、1973年11月5日、「狂える虎」との異名を持つインド人レスラー、タイガー・ジェット・シンは、倍賞美津子と一緒のアントニオ猪木を新宿の伊勢丹前で発見し、猪木夫人に罵声を浴びせル暴挙に出た。猪木にライバル心を燃やすインド人レスラーは、いきなり猪木を襲撃したというが、両者の乱闘は警察沙汰にはならなかった。(良い子のみんなは、お爺ちゃんかお父さんに当時の話を訊いてね。昔は、夜9時台のテレ朝で放映されたほど大人気だった。ちなみに、報道番組のアンカーマンをしていた古舘伊知郎は、元々プロレス中継のアナウンサーであった。)

  たぶん、新宿の警察署も「ヤラセ」と判っていたのだろう。この喧嘩は無料のTV宣伝になったらしい。だいたい、街中で乱闘騒ぎを起こした「猛虎」が、宿泊先の京王プラザ・ホテルに帰ると、仔猫のように“おとなしかった”なんておかしいじゃないか。警官の方も馬鹿らしくなったと思う。そう言えば、シンは試合のリングに現れた時、いつも愛用のサーベルを持っていたけど、それを使って猪木や藤波辰巳、坂口征二を刺すことはなく、グリップの部分で叩くだけだった。試合の無い時は、猪木とシンは結構仲良しだったというから、日本のプロレスは微笑ましい。

  脱線したので話を戻す。大東亜戦争の前から、日本は既に米国の仮想敵国だった。共産主義に好意的なフランクリン・D・ローズヴェルト(FDR)大統領は、西歐列強の支那進出くらいは容認できても、東洋の異国である日本が満洲支配を握り、支那大陸での権益を拡大する事には我慢がならなかった。彼が日本人を嫌い、銭ゲバの支那人を好んだのは祖父(Warren Delano)からの伝統だろう。(尚、デラノ家の闇歴史に関しては、「James Bradley, The China Mirage, New York : Little, Brown and Company, 2015」の第1章が詳しい。)


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( 左 : ウォーレン・デラノ /  サラ・デラノ / フランクリン・D・ローズヴェルト  /  右 : 父のジェイムズと母のサラ、息子のフランクリン)

  また、以前にも紹介したように、大富豪のロックフェラー家が財団を通して支那大陸に食指を伸ばしていた。つまり、4億ないし6億の人口を擁する支那は、涎(よだれ)が出るほどの巨大市場であったから、アメリカのエスタブリッシュメントは何としても支那を独占したかったようである。(註 :  FDRの母親サラ・デラノはウォーレン・デラノで、フランクリンの祖父は「Russel & Company」に雇われた密輸業者であった。彼は冒険商人のように支那大陸で阿片貿易に携わっていたという。一時は財産を失ったものの、ウォーレンは香港で財産を築き、戦争省の医薬部局に阿片を納入していたそうだ。)

  ローズヴェルト政権は真珠湾攻撃を画策して大東亜戦争を引き起こしたが、「敵の敵は味方」ということで、合衆国政府は日本軍と対峙する国民党軍を支援した。重慶の蒋介石には二人の強力な参謀が附いており、その一人が支那・ビルマ・インド・ルートの戦線で総司令官を務めていたジョセフ・スティルウェル(Joseph Warren Stilwell)大将である。もう一人は「フライング・タイガース」を率いていたことで有名な陸軍航空隊のクレア・シェノールト(Claire Lee Chennault)少将であった。共産党に敗れた蒋介石と一緒に台湾へ逃れたシェノールト少将は、戦争終結を機に軍を退き、民間航空会社を創設する。そして、1946年、彼は最初の妻であるネル・トンプソン(Nell Thompson)と離婚した。ちょっとビックリするけど、二人の間には8人の子供ができていたというから凄い。これじゃ「猛虎」はなく「種馬」みたいだ。

Joseph Stilwell 1Joseph Stilwell 2Claire Lee Chennault 111








( 左 : ジョセフ・スティルウェル / 中央 : 蒋介石と宋美齢と一緒のスティルウェル   / 右 : クレア・シェノールト )