当たり前ですが、「投資」とは常にリスクを伴います。 
 
 ここで言う投資とは「株式投資」(この言葉、どうなんだろ?と、以前から思っていた)ではなく、生産性向上のための四投資。すなわち、設備投資、公共投資、人材投資、そして技術投資のことです。
 
 四つの投資は、それぞれリスクと「生産性向上効果が出るまでの期間」に差があります。それを、大雑把にまとめたのが、よく使う「投資のマトリクス」。

【投資のマトリクス】


 特に、リスクが高く、生産性効果が出るまでの期間が長いというか、「出るかどうかわからない」というのが技術投資。

 技術投資、研究開発とは、将来的に国民の「経世済民」に貢献するかどうか、事前に確定させることはできません。あるいは「いつ」貢献することになるかもわからない。

 例えば、オランダの物理学者ヘイケ・カメルリング・オネスが、金属を冷やすと電気抵抗がゼロになる「超電導現象」を偶然、発見したのは1911年。日本において、超電導技術が「国民の生活を大きく変える」最初のアプリケーションとなるであろうリニア中央新幹線の開通予定が(今のところ)2027年。

 オネスの発見から、百年以上、経過しているわけです。

 リスクが高く、「いつ、役に立つのか?」が分からないのが技術投資です。だからこそ、政府がやらなければならないのです。

 短期で「利益」を生み出すことが分かっているならば、民間がやればいい。

 分からないからこそ、選択と集中「無し」で、政府が予算を費やさなければならない分野が、科学技術なのです。

【主要国政府の科学技術予算の推移】

※科学技術予算総額(OECD購買力平均換算)の推移
出典:科学技術・学術政策研究所

 ところが、日本は21世紀に入って以降、科学技術予算を全く増やしませんでした。(最近、ようやく増やし始めた)
 
 反対側で、中国は予算を激増させた。
 
 結果は・・・? という話です。
 

【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】

現在、【三橋貴明×関良基】歪められた「開国」の歴史〜日米修好通商条約の締結時点では「関税自主権」はあった!?の一部をYoutubeで公開中!

https://youtu.be/TcPKV90XccM

 

 もちろん、民間企業は赤字が続くと存続不可能になりますので、リスクの高い基礎研究等になかなか資金を投じれない。デフレが続く日本では、なおさらです。


 だからこそ、政府がやらなければならないのですが、まさに、こういう考え方だから日本が科学技術大国から凋落した、という典型的な社説、

(社説)社会に実装してこそイノベーションだ
 政府は2021年度から5年間の科学研究や技術開発の方向性を示した基本計画を策定した。第6期となる今回初めて、イノベーションの創出を前面に打ち出した。
 世界は今、知の競争の真っただ中にある。科学を基盤とした技術の進展が、経済にとどまらず政治や社会にも大きな影響力をもつようになった。こうした潮流に乗り遅れまいと、国の科学技術政策がイノベーションにかじをきるのは必然の流れである。(後略)』

 後略部で、日経の社説(社の意見)は、以下の通り書いています。

『ただ、総花的でばらまきになるのも困る。科学技術政策の司令塔である政府の総合科学技術・イノベーション会議が計画の進捗をチェックし、時には軌道修正する指導力を発揮してほしい。』

 

アホかっ!
 

民間の投資じゃないんだよ。政府の技術投資は、総花的でバラマキ(バラマキの定義はよく分かりませんが)でなければならないんだよ。


 何で、事前に、
「この研究開発はイノベーションだ。この研究開発はイノベーションではない」
 とか、人間に分かるんだよ。総合科学技術・イノベーション会議の連中は、神様か何かか?

 政府の科学技術投資は「数撃てば当たる」であるべきなのです。なぜなら、「数撃てば当たる」方式の投資は、政府にしかできないためです。
 

 日経の社説が、なぜ「総花的でばらまきになるのも困る」と書いているのかと言えば、記事にありますが「財政が厳しい」という、間違った認識を持っているためです。


 緊縮財政の呪い、凄まじき、でございます。


 まずは、間違った貨幣観、財政観に基づく緊縮財政を転換させる。その上で、「数撃てば当たる」的に科学技術予算を安定的に拡大していく。大学教授など、研究者を短期で評価するバカげたやり方も改める必要があります。
 

 さもなければ、我が国の科学技術劣等国化は止まりません。
 

「政府の技術投資は「数撃てば当たる」でいい」に、ご賛同下さる方は、

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